企業情報

商号 合名会社 山本佐太郎商店
会社設立日 明治9年
代表取締役 山本慎一郎
本社所在地 〒500−8084 
岐阜県岐阜市松屋町17番地
資本金 150万円
事業内容 業務用油・食品・洗剤卸商、菓子販売
従業員数 9名

CSRの取り組み内容

○岐阜の新定番菓子 「大地のおやつ」シリーズ

 

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レジ前の大きなスペースには、女性が好みそうな愛らしいパッケージのお菓子が並べられている。「大地のおやつ」シリーズだ。発売は2012年、販売と同時に人気商品となり、以降現在まで前年比売り上げ200%アップを続けている。新規取扱店には納品を半年も待ってもらうほどだ。妥協しない素材だけでシンプルに仕上げた「毎日安心して食べられるおやつ」というコンセプトが時代にマッチし、今では全国にファンを持つ、岐阜を代表する新定番の土産物になった。この成功を聞きつけ、商品プロデュースの仕事も来るようになった。

 

 

○和菓子職人、福祉事業所との新商品開発

油の卸商と合わせて2枚看板となった菓子販売業だが、そのきっかけは素材を生かした和菓子で全国にファンを持つ和菓子職人「まっちん」との出会いだ。岐阜市柳ヶ瀬商店街の和菓子店「ツバメヤ」の商品開発・和菓子職人として参加していたまっちんこと町野仁英氏と、まちおこし活動を通じて親しくなり、油を使った商品開発をして欲しいと依頼したのだ。彼のレシピをもとに、製造は社会福祉法人いぶき福祉会に委託をした。「大地のかりんとう」が売れるほどに、地域の障碍者の所得が向上していく仕組みができた。

 

○弱さを補いあえるチーム作り

山本佐太郎商店の従業員は家族を除いて正社員4名、パート5名。販売管理を社員が、梱包作業や注文・発注業務をパートが行っている。求人は出したことがなく、ほとんど社員の紹介だ。パートは、体の不調を抱えながら子育てに奮闘している人ばかり。皆、体のコンディションに気をつけながら、無理のない範囲で働けるようにチームでサポートしあっている。お互い体調の辛さに共感しあえる境遇と、本当に友人や子どもに食べさせたいと思える商品への愛情が、チームの力を強くしている。



CSRに関わる経緯・動機

山本佐太郎商店では、大手メーカーだけでなく全国の様々な油の製造業者の製品を取り扱

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い、岐阜市内の飲食店を中心に500店舗に植物油などを卸している。しかし、大型スーパーのプライベートブランドの台頭などで中間流通を担う卸売業界自体が傾斜産業となっていく中、山本佐太郎商店は、メーカーと商店の間に立つ存在としての「新しい価値」を作らなくてはいけないと考え始めていた。

 

山本社長は、その答えを、同じように新しい価値を生み出そうとする事業者との縁の中で見出していった。B1グランプリの常連である「鶏ちゃん合衆国」や、昨年1万人以上の集客を誇る「ぎふハロウィン」には立ち上げから中心メンバーとして参画している。「長良川おんぱく」という地域資源を活用した観光イベントにも初期から毎年斬新な企画を提案し、「長良川おんぱくらしさ」の形作りに貢献した。ものづくりに情熱を注ぐ作り手との人脈も広がり、彼らの活躍の場となるマルシェにも役員として関わることで、厚い信頼を得るようになった。ビジネスとして成功の最中にある大地のおやつシリーズの背景には、大きく花開いた活動から、地道な小さなイベントまで、膨大な量の直接お金には結びつかない地域コーディネーターとしての活動があった。

それらの活動が即お金になることはなくても、共感しあえる事業パートナーとの出会いや、油や菓子を卸す取引先の開拓や、行政から商品プロデューサーとしての依頼がくるきっかけになっていった。「新しい価値」を軸にしたビジネスの種まきになっていたのだ。

企業としてCSR活動を継続して成り立たせるには

人との縁をとことん大切にする。

◆時間をかけて育てる

 

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福祉事業所への委託のデメリットは品質の管理と安定供給だと言われている。生産開始から一年かけて、事業所と何度もやり取りをし、安定した品質のかりんとうを生産できる体制を整えてもらった。大地のかりんとうの爆発的な人気もあり、他工場への発注や自社生産の話は幾度となく出た。しかし、いぶき福祉会も安定供給を目指し、毎年3割の増産を果たしている。何よりも全国の店に並ぶ人気商品を自分たちが生産していることにいぶき福祉会で働く障碍者の人たちが誇りを持っており、彼らの賃金の向上に繋がっている。その様子を実際に見る中で、山本社長はいぶき福祉会との関係性を大切にすることを選んだ。

 

 

◆儲かっても、最初の取り決めを破らない

スタートで大切にしたことは、小さくできることからすることだ。リスクを最小限に抑えるために、「レベニューシェア」という方法を採用した。協力事業者に規定の金額を支払うのではなく、利益を分け合うという方法だ。当然、初期の赤字も分かち合ってくれた。

HP作成を依頼した事業者は、昨年「元は十分に頂いたから、もうわけまえはいらない。」と言った。しかし、当初の取り決めだからと支払いを続けようとしたら、HPを全面リニューアルしてくれたという。

今後のビジョン

これまでも海外展開の話はあったが、すべて現地企業からの直接の打診で、海外展開のノウハウを持たずにチャレンジすることに抵抗があった。そんな中、廃校を利用したアートイベントで講演したことがきっかけで、海外の空港に店舗を持つ日本企業から販売の打診をいただいた。海外展開に取り組んでいける縁もまちづくり活動がつないでくれた。

「40代になり、経営を次世代に渡すために今しなくてはいけないことが見えてきた、菓子の梱包・配送業務の効率化を目的としたかりんとう倉庫づくりなど、一つ一つ、その時にできることをやっていきたい。」

社員の声

– 体調に不安のあるパートさんもいらっしゃるとのことですが、仕事で気を使っていることはありますか。

自分自身、仕事のミスなどをしないように気をつけているが、フォローしてもらっていることもある。迷惑をかけ会うのはお互い様。それぞれがシフトに入れる時間が少ない分、伝達ミスが起きないように気をつけている。必ず一人一人に説明をするか、伝えたパートさんに全員に連絡を入れるようにお願いしている。

 

– イベント出店への協力など、大変じゃないですか

私たちのお客さんは食に対する意識の高い母親が多く、そういった方の支持の声が直接聞けるのはありがたい。小さな子どもが、「これが好き!」と喜んでくれているのを見ると、純粋に嬉しい。