企業情報

商号 山川醸造株式会社
会社設立日 昭和18年
代表取締役 山川晃生
本社所在地 岐阜県岐阜市長良葵町1-9
資本金 1000万円
事業内容 ・杉の木桶でのたまり醤油と豆味噌の醸造
・醤油、味噌加工品の製造
・外食産業向けにオーダーメード(ブレンド)醤油の製造販売
・醤油スイーツ等、他社とのコラボ商品の企画開発
・蔵開放イベント「たまりやカフェ」の開催(年2回)
従業員数 11名

CSRの取り組み内容

■一般消費者向けに、試食できる商品を

お酒は試飲会で味見してもらうことができるが、醬油は味見ができない。豆腐などの素材を用意しても素材の味の感想になってしまうのだ。山川醸造は、醤油そのものが主役の加工品を作りたいと、2000年から小売用の加工品の開発を始めた。2003年に開発した醤油ごまふりかけがヒット。2005年、卵ごはん専用醤油を発売したところ、卵かけごはん「TKG」ブームに乗り全国的にもメディアで取り上げられるようになった。2007年、アイスクリームにかける醤油を開発、これが年間100回メディアに取り上げられる状態が4年間続くほどの大ヒット商品となる。

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開発のきっかけは、日本で数社が既に発売していた醤油味のアイスクリームを、自社でチャレン

ジしようと業者に相談したが、何千ロットでないとできないことが分かったからだ。200-300ロットでチャレンジできるよう、「かける醤油」に切り替えて開発したところ、日本初の商品として大ブレイクした。

 

■蔵を年2回市民に開放。地域商店とコラボした醤油スイーツを開発。

2008年からは、自社の認知度を向上させるため、地域の人に木桶の醤油蔵を知ってもらおうと、年2回蔵の開放イベント「たまりやカフェ」を始めた。第1回目は地元米農家・養鶏家とタッグを組み卵かけごはんをふるまったところ、500人が来る盛況となった。

同じ時期に、山川醸造はアイスクリーム専用醤油に続くヒット商品を様々な料理の「専用醤油」の開発に励んでいたが、ヒット作には恵まれなかった。そこで、2000年商品開発を始めたころの方針に原点回帰をし「かける=わき役」ではなく「主役」になる商品開発を「たまりカフェ」を使って仕掛けていく戦略に切り替えたのだ。

第2回のたまりやカフェでは地元の洋菓子店に協力を依頼し、コラボ商品として醤油スイーツを限

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定販売したところ、3000人が来場。マスメディアも3-4社来場した。人気が高く、消費期限の長いコラボ商品については協力店から仕入れ、山川醸造の通販でも取り扱いをするなど、ビジネスとしての幅を広げている。「醤油スイーツのまちとして、岐阜のあらたな街おこしになればいい」と社長は語ってくれた。

 

■NPOを介して学生インターンを導入。新商品開発やイベント運営を任せる。

「学生にチャンスを与えるためにインターンプロジェクトに協力したわけではない」と山川社長は言う。以前から懇意にしていたNPO法人G-netの代表秋元さんから、学生インターンの受け入れを強く依頼された。面接を引き受けたものの、当時は学生インターンが今ほどメジャーではなかったこと、すでに別で人を採用していたため、一旦断ったそうだ。しかし、半年後 「もう一度面接のチャンスを下さい」と山川醸造を訪れた学生の熱意に負けて、半年間のインターンシップを受け入れたところ大活躍。学生インターンに対する理解が深まり、その後もインターンも受ける流れになった。

「たまりやカフェ」は現在、コラボする商店を開拓するところから学生インターンが主軸を担っている。



CSRに関わる経緯・動機

■伝統を担う誇りと、社会のニーズに答えていく姿勢

昔は、たまりは東海地方の文化自分たちが守っているという誇りを胸に、本物を作っていれば、受け入れられると考えていたが、文化論を振りかざして醤油を売ろうとするのはメーカーとして姿勢が違うと気づき、時代に合った戦略を考えるようになった。

ビジネスのヒントは本を読んだり、NPOや商工会が主催する勉強会に積極的に参加したりして得ている。時代の流れを読んだ商品展開は、積極的にビジネスのヒントを探り自社に取り入れていくマインドが下支えになっているようだ。

企業としてCSR活動を継続して成り立たせるには

■メディアを活用してビジネスを成長させる

社会に新しい価値を生み出すプロジェクト、地域貢献度の高いニュースは、マスメディアが取り上げる。大企業に比べプロモーションにお金をかけられない中小企業は、いかにメディアを使うかが大切だ。

山川醸造は、アイスにかける醤油の大ブレイクにより全国のメディアとの接点を持った。が、大抵の記者は2~3年で持ち場が変わる。大切なことは、プレスリリースをいかに上手く書くか。インターン生にも協力を得てキャッチコピーの工夫をしている。

今後のビジョン

■岐阜の醤油と言えば山川醸造といわれるようになりたい。

収益の大半は現在も飲食店への卸だが、卸先は名古屋の店舗がほとんど。岐阜で知名度は高まったものの消費量としてはこれから。岐阜でのシェアを拡大し、名実ともに「岐阜の醤油」の座を手に入れたい。2011年までは順調に収益を伸ばしていた同社だが、東日本大震災を機に同社の基幹だった卸事業の顧客である外食産業が冷え込み、2017年の今も収益は、震災前ほどは回復していない。地域の商店や一次生産者と協働した新商品開発の中から、次なるスーパーヒット商品を探っていく。

■新事業:たまりやオーダーメード100

飲食店に卸す際、山川醸造は各店舗のこだわりに応じて出汁など醤油以外の調味料を配合している。そのブレンド技術を活用して、農家・漁師などの1次生産者などが地域の特産品を使って自前の加工品を作りたいときに100本から対応できる、「たまりやオーダーメード100」プロジェクトを開始した。

これまでつくった商品には、郡上市のしいたけ農家からの依頼で「しいたけつゆ」、岡崎市のなす農家の依頼で「焼きなす専用醤油」、 馬瀬の観光協会の依頼で「鮎の出汁入り醤油」、尾道の「橙(だいだい)ぽん酢」などがある。

「どれも小ロットのため、利益率は低い。だが、大手がリスクを考えて躊躇する分野にこそ、中小企業のチャンスはある」と山川社長は考えている。

地域の声

 

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「山川醸造は、杉の木桶で2年以上熟成する伝統製法を守るたまりのメーカーでありながら、トレンドや時代に対応した商品を生み出す醸造会社です。しかし、伝統に胡坐をかくわけでもなく、話題のためのキワモノ作りをしているわけでもないところが魅力だと思います。ひとつひとつの商品には、誰のために開発しているのか、どんな人に使ってほしいと思っているのか、そういう想いや背景が必ずあって、「食卓においしい、楽しいを届けることが仕事だ。」とおっしゃる社長の想いが伝わってくる。だからこそ、多種多様な商品にも興味が沸くし、信頼して食べられる。

 

また、半年に1度の蔵開放イベントもとても楽しみです。木桶で造られる伝統のたまりの持つイメージとたまりやカフェで提供されるスイーツを始めとした新しさ、また職人の方々が持つ雰囲気と若者たちの新鮮な空気感、そうしたものが交じり合う空間がとても好きです。ワクワクする醤油蔵が岐阜にある。それがうれしいなと思います。」(NPO法人G-net共同代表 南田修司)

社員の声

「たまり醤油について「黒くて辛い」というイメージを持っている方が大半。たまり本来の味・出来立てのたまりの味を分かりやすく伝えることが自分の役割だと思っています。創業蔵の開放に来てくれたお客様からは“ここに木桶の蔵があることを知らなかった”とおっしゃられる方も多いです。娘に“パパの作った醤油はおいしい”と言ってもらえる瞬間が一番うれしいです」(社員:三島大亮さん)