企業情報

商号 医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック
会社設立日 2009年
代表取締役 市橋亮一
本社所在地 岐阜県羽島郡岐南町八剣北1-180-6
資本金
事業内容 医療業
従業員数 31名

CSRの取り組み内容

音楽療法や“食楽”の支援、旅行のサポートまで

市橋院長はじめ同院のドクターは、自動車に胃カメラや心電図・超音波検査のための機器など診療に必要な道具を積み込み、患者さんの家を一軒ずつ訪問する。在宅医療の対象は「在宅で療養を行っている患者で、通院による療養が困難な方」なので、実際にはがん末期の方や認知症の

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方、障害を持つ若い人まで、病気も年齢も様々だ。「通院には付き添いの人が必要であったり、診察まで長時間待たなければならないこともある。訪問診療は患者さんにも、ご家族など介護をされる方にも負担が少ないのです。」

 

訪問するのは医師と看護師だけではない。同院では音楽療法士の資格を持つプロのバイオリニストが患者宅を訪問するセラピーも提供している。患者さんの思い出の曲を演奏し、一緒に歌ったりすることもあるという。「昔を思い出す『回想法』のような効果も期待できますし、歌うことで呼吸や嚥下の機能を改善するリハビリにもなるのです。」また、管理栄養士も患者宅を訪問し、栄養や食事のサポートをしている。

単なる『栄養の管理』だけでなく『食べること』を通して人生を楽しく豊かなものにするお手伝いをしています。なので『栄養指導』ではなく『食楽支援』と名付けて活動しています。」

また、車いすや在宅酸素など常時医療的なサポートが必要な患者さんが、旅行に出かけるサポートもしているという。必要に応じてチケットの手配や、旅行会社や鉄道会社などとの調整も行い、看護師が付き添って患者さんの思い出に残る旅を実現する。「鉄道が大好きな患者さんの、寝台列車の旅をお手伝いしたこともあります。旅行の様子を写真やビデオにおさめてお渡しすると、ご本人にもご家族にも喜んでいただけますね。」

 

住民や多職種と連携して地域を豊かに

同院では平成24年度厚生労働省「在宅医療地域連携事業」の委託を受け、全国105拠点のひとつとしてさまざまな活動を実施してきた。行政・医師会・薬剤師会・地域包括支援センター・介護事業者などと連携し「木曽川トンボネット」というネットワークを立ち上げたり、地域の一般の方々向けに医療の情報発信や勉強会、専門職向けの研修などを実施した。また関係機関と協力して、災害時にも速やかに医療を提供するための「羽島郡防災協議会」も発足。「縦割りになりがちな専門職どうしや行政と民間の壁を越えて、医師会員の名簿作りや災害時の配置を決めました。行政の仕事と思われがちなことも、実は民間の事業者だからこそ柔軟に発想して発言できることも沢山あります」。現在ではこうした活動の事務局を行政・医師会に引き継ぎ、地域をあげての活動となっている。

また創設以来、木曜日の夕方に地域の多職種向けの勉強会を実施している。8年間で、230回実施。地域の多職種の人たちは参加費無料・申込不要で参加できる。
「地域に住む一人ひとりを支えるために、医師だけでできることはごくわずか。でも、色々な職種、能力を持った人が集まり、チームで同じ目標を共有すれば、誰もが住みやすい地域が作れると考えています。『チーム』と考えた時に、院内だけでなく地域の多職種の人たちみんなが強くなることが大切だと思っています」 



CSRに関わる経緯・動機

市橋院長が医師を志したきっかけは、自身が高校時代に部活動でケガをしたときに、ドクターが家まで来てくれたことだという。「休日診療所の先生が、骨折した部分を固定するためのバンドを持って家を訪ねてくれたんです。こんな仕事があるんだと思いました。」

医学部を卒業後、総合病院に勤務し様々な科での診療を経験した。次のキャリアを考え始めていた時に、友人が勤務していた在宅医療のクリニックを見て、自身の原点を思い返し開業を決意したという。

企業としてCSR活動を継続して成り立たせるには

患者の容態が急変した際などには、24時間365日いつでも対応が求められるなど、こうしたクリニックに求められる責任は決して軽いものではない。また終末期を迎えた患者も多く、動揺している家族のケアなどの負担もある。それでも在宅医療にこだわり、重ねて音楽療法など保険診療の対象とはならないサービスや、院外での活動にも積極的に取り組めるのはなぜだろうか。

「医療者の役割とは何かと考えた時、私は『人にしあわせを提供する仕事』だと考えました。病気の治療は、普段の状態をゼロとすると、マイナスになってしまった体の状態を、再びゼロに戻すこと。でも、在宅医療で、音楽や食育、旅や地域の人たちとの連携を通じて、その人の生活を豊かにしていくことには、患者さんの人生をマイナスからプラスの状態へと導くお手伝いができるのではないか、と考えています。」

今後のビジョン

「これからは『人を育てる人』を育てる仕事をしていきたい」という市橋院長。2017年10月に完成予定の新社屋は、これまでも行ってきた在宅医療の推進のための研修を、さらに多くの人を招いて開催できるよう、セミナールームや宿泊もできるスペースを広く確保する。増え続ける在宅のニーズに応え続けるために、さらなる人材育成が必要なのだ。

 

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また、建物の一階にはキッチンや、カフェのようなコーナーや縁側を思わせるスペースを用意し、近隣に住む人たちが自然に集える空間も作る。介護食の料理教室や、多世代が交流するサロン、気軽に健康相談ができる保健室など、誰でも自由に使える場にしていきたいという。「家族も専門職も頑張りすぎずに看護ができ、誰もがどんな状況にあっても安心して希望する生活を送れるようになる。そんな新しい生き方の提案を、新しい社屋の空間からしていきたいと思っています。」

 

地域の声

「病院では元気がなく、カメラを向けても表情が暗かった子が、自宅に帰ると自分の趣味を見つけて、笑顔で写真を撮らせてくれるようになりました。」(小児がんのお子さんのご両親)

「主人の最期を孫たちは見ていました。娘が家に着くのを待っていたように夫は息を引き取り、家族全員で最期を看取ることができました。そういうことができるのは、病院のベッドじゃない、家だからできた、と思っています。

夫は「希望死」であり「満足死」であったと思っています。

 ケアマネジャーさんが「奥さんは一人じゃないからね。みんなが一緒にいるからね」と言ってくれた言葉が心強かった。訪問看護師さんたちは、尊い仕事をしてくださって本当に感謝します。私一人だけじゃなかったから、がんばれたのだと思います。」(がんを患った60代の患者さんの奥様)