職人の誇りを守りサービスの質を守る
誇り高い職人がいてくれさえすれば
職人の誇りを守りサービスの質を落とさないために日本報知機株式会社が大切にしていることは、職人が安心してひとつの仕事を手がけられる環境を整えること。 「誇り高い職人が、人の命を預かるサービスに誠実に取り組むかぎりは、必ずお客様のお役に立つ自信がある!」とおっしゃる社長の峯さんに取材してきました。企業情報
| 商号 | 日本報知機株式会社 |
|---|---|
| 会社設立日 | 昭和40年10月25日 (創業:昭和38年 2月 1日) |
| 代表取締役 | 峯 茂康 |
| 本社所在地 | 〒462-0844 愛知県名古屋市北区清水二丁目1番21号 |
| 資本金 | 35,000,000円 |
| 事業内容 | 防災設備・弱電設備の設計・施工・保守管理 |
| 従業員数 | 80名 (技術70名・事務10名・日本報知機グループ全体) |
CSRの取り組み内容
日本報知機の社長、峯さんは「我が社は社会から必要とされているだろうか?…本当に必要とされているのなら、今のような不況でも会社がつぶれることはないよと社員達に話している」と言います。

日本報知機は主に火災報知機などをビルやホテル、マンションなどあらゆる建築物へ設置し、その後の保守点検・管理サービスを行っている。火災報知機は文字通り、建物内にいる人達へ火災を知らせる設備。そもそも警報を発するような状況、つまり火災は無いに越したことがないので、普段あまり目立たないかもしれない。
しかし、これがもし故障していてイザ火災というときに作動しなければ人命に関わるものだ。だからこそ、設置はもちろんその後の定期的なメンテナンスを繰り返すことで、火災発生時に人々にそれを知らせることができる状態を維持し続けることが必要になる。
日本報知機は、この本業の「人の命を守るサービス」を最高の状態で提供することで社会から必要とされてきた。
サラリーマン職人が会社の強み、守るべきもの

日本報知機の職人さんは全て正社員であるという。建設業界が古くから非正規労働者で成り立ってきている中では、非常に珍しい会社なのだとか。正社員である職人さんは決まった給料が保証されているわけだから、非正規労働者の職人さんのように明日の分の仕事、つまり収入があるのかどうか心配したり、心配のあまり取れるときに取っておけとばかりに大量の仕事を抱え込んだりすることはない。
実は月給のサラリーマン職人はじっくりと自分が納得のいくまで丁寧な仕事をするそうだ。サラリーマンの方が一匹狼の職人より良い仕事をするというのはなんとなくイメージしにくいが、仮に日給の非正規労働者が欲張って一度に何日分もの仕事を抱え込んだとすると、こなしきれなければどこかで手を抜くことになる。その対極にあるのがサラリーマン職人というわけだ。
「人の命を預かるサービスで、手抜きがあってはならない。」というのが、このサラリーマン職人にこだわり続ける理由である。
「決して高い給料とは言えないが、少なくとも仕事に集中できる就業環境は用意したい」と峯さんは言う。武士は食わねど高楊枝ではないが、逆に給料が高くない分、誇りを持った職人さん、つまり社長と志を同じくする社員だけが会社に残っていくことが強みにもなっているのかもしれない。
不況にも負けるはずがない
「うちの職人は自分の仕事に誇りを持って働いてくれている。この選りすぐりの職人がお客さんのためと思って頑張るのだから不況にも負けるはずがない!と思って経営している。」
とはいえ、値引き交渉には頭を痛めているのだとか。なぜなら、
「職人さんでもホワイトカラーでも、養わなければならない家族がいて、住宅ローンを抱えていて、老後のための貯蓄をしなければならなくて…等々というのは同じ。そうすると最低限必要な年収から割り出した技術料の時間単価は自ずから決まってくる。しかし最近の過当競争で値引きはこれ以上無理というレベルに達している。自分一人で食っていくのがやっとの単価なので、建築業界に限らないが弟子や見習いを養える職人の親方はいなくなってしまった。会社で言えば、若い人を採用し教育して次世代の技術員を養成する余裕がなくなったということであり、憂うべき事態だ。だから安易な値引き要求や職人技の価値を無視した価格交渉を受けるのは辛い。」
と峯さんは言う。
CSRに関わる経緯・動機(原点)
原点は創業時のクレームから

創業者である先代の社長が防災設備の仕事を始めたのは、昭和38年のことだった。その2年ほど前の昭和36年に消防法が改正され「自動火災報知設備の設置」が義務化されたが、当時は専門のエンジニアがほとんどいなかった。先代社長自身は、その技術をいち早く習得した数少ないパイオニアであり、次世代のエンジニアを育てるために心血を注いだ。
創業時の先代社長は比較的近い分野の職人達を探してきては専門技術を伝えて育成しながら工事をしていたが、ひとつ仕事が終われば次の受注は半年後とも1年後ともつかない不安定な経営状態だった。すぐに次の工事がなければ、一度は一緒に仕事をしてくれた下請職人達も他の現場を探して去っていってしまう。
ようやく仕事の注文が入っても、その都度寄せ集めの下請職人でしのぐということを繰り返すうちに、お客さんからは「サービスの質が落ちた」などと言われ信頼を失って仕事がこなくなるという悪循環だった。
その中で苦闘を続けた先代社長は、
「厳しい状況でも自分と一緒に辛抱してくれる同じ志を持った職人、つまり運命共同体でいてくれる社員を採用して育てよう。このことが結果としては、お客さんへのサービスの質を安定させることになる。」
と痛感したそうだ。これが、日本報知機の「職人さんは全員正社員として雇用する」という方針の原点であり、今もそれは変わっていない。
建設業界ではこういった下請を使わない施工体制を「直営」と呼ぶそうだ。誠実で高品質で信頼性の高い工事を実現するのにはどうすればよいか?という問に対するひとつの答えが直営体制である。しかし、固定化した人件費が重くのし掛かり、仕事量の増減に柔軟に対応できないという辛い経営を強いられることにもなる。
企業としてCSRが成り立つには
CSRを意識していないが結果的にCSRになっている、という峯さんにCSRについて聞いてみた。
---CSRってなんだと思いますか?
峯さんの会社ではどうして成り立っているのだと思われますか?
私は、社会に必要とされるものを提供し続けていくことが企業の使命であると思っている。とはいえ、いくら需要があるとしても公序良俗に反するような商売はするべきではない。倫理観、哲学を持つことは企業の責任だ。
もし将来、我が社のサービスが社会に必要とされなくなるときがくるとすれば、それは会社が一定の役目を終えたときだろう。例えば社会から火災を根絶できたとか。そうなったら、お祝いをして会社は発展的解散をすればいい。
「企業として責任を果たすために!」と意識して何かに取り組んだことはないが、実際に存続し得ているということは、まだ我が社は社会から必要とされているのだと思う。それがCSRだと言われるのならそうかも知れない。
そのために私にできることは、この会社の火災報知機の設置やその他のサービスに関して、職人が最高の技術を提供できる環境を用意することだと考えている。だからこそ直営にこだわっている。
今後のビジョン
社長の峯さん曰く・・・・
1.本業第一
本業を通して、貴重な人命と財産を守るサービスを最高の職人と共に最高の品質でお客様に届けていきたい。
2.若いエンジニアの育成
本当にお客さんの安心・安全のための仕事をするためには、「職人の誇り」しかない。誇り高い技術が途切れることなく各世代に受け継がれていくことが大切なことなので、今後も若い職人を育てられるように採用を継続していく。地域に雇用を生み出すということ自体も企業の社会的責任だ。
3.会社の持続性を保つ
建設業界が厳しい状況にある中で仕事の数は減っていくだろう。利益優先で経営していた業者は旨味の無くなった業界から撤退していくかもしれないが、防災設備業が社会から必要とされている限りはみんながやめてしまうわけにはいかない。恐らく残った業者は選りすぐりだろう。そこに踏みとどまるのは容易なことではないが、日本報知機の直営施工体勢という他社にはない特長が強みになると思う。ユーザーは持続的で信頼できるサービスを求める。不況に負けずに存続することも企業の責任だと思う。
社員、地域の声
社員の声
40年ほど前、自分がまだ駆け出しの職人だった頃、ある工場建設の現場で苦労して仕上げた電気配管をすべてやり直しさせられたことがある。
やり直しを命じたのは会社の上司だった親方で、こんな出来映えではお客様から代金を頂けないと叱られて、取り付けた配管を全部壊して外させられた。こんな乱暴なことは当時でも直営じゃなければできなかった。
人命と財産を預かる設備に僅かな妥協も許さないという我が社の方針は当時から徹底していた。
自分が職人を卒業して設計・施工管理と営業の職種に異動になった後も、自分を鍛えてくれた当時の上司と同じように部下の若い職人を厳しく指導してきたつもりだ。
しかし、予算も工期も自分が若い頃のような余裕がなくなって後輩達が気の毒だ。
(60代男性 営業本部長)
峯さんが、会社、顧客と従業員本人のことだけではなく、従業員の家族生活も心がけながら、経営判断をされているとおっしゃったのが印象的でした。
また、業績のいい時期と業績悪化の時期は関係なく、顧客に対する高品質サービスの提供と従業員に対するモチベーション・アップや雇用を継続することが、日本報知機のこだわりなのだと感じました。(張凡)


