企業情報

商号 株式会社ビジネス・ソリューション
会社設立日 2004年3月15日
代表取締役 内藤 浩毅
本社所在地 名古屋市中村区佐古前町22−13 森ビル3階
資本金 1,500万円
事業内容 セールスプロモーション
 (DM、FAXDM、Webサイト、テレマーケティング)
ヒューマンソリューション
 (障害者就労移行支援、障害者就労継続支援、障害者雇用促進事業)
業務代行
 (DM発送代行、制作・印刷、物流代行、通販物流、DB構築)
情報セキュリティ
 (マネジメントシステムコンサルティング事業)
従業員数 (正社員)17名
(パート従業員)42名
(登録作業スタッフ)89名
2015年12月現在

CSRの取り組み内容

愛西市にある同社物流センターの2階のフロアでは、多くの若者がテキストを片手にパソコンに向かっている。フロアには講師が3人おり、わからないことがあればいつでも教えてもらえるという。ここは、障碍者ITカレッジ。同社のグループ会社であるNPO法人障害者雇用創造センターが運営する、東海エリア初のITに特化した障碍者就労移行支援施設だ。

利用者は、パソコンの基本操作からWEBデザインやWEBプログラミンングまで、専門知識が一通り学べる。学んだことを生かして実務経験を積むこともでき、実務作業には工賃も支払われる。

隣のフロアは、同NPOが運営する就労継続支援A型のフロアとなっている。プログラムを作成す

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るチーム、画像の加工をするチームなどに分かれ、社員デザイナーが全体の工程を管理する。2階には、ダイレクトメールの発送やデータ入力などを行うフロアもあり、利用者の強みを生かした仕事ができるよう工夫されている。多くの福祉就労施設とは異なるのは、スタッフの割合だ。利用者の作業進捗が体調不良などが原因で遅くなってもリカバリーできるよう、スタッフを多く配置している。職場の雰囲気は明るく、利用者もスタッフも垣根なく働いているように感じた。福祉施設然としたところはなく、ごく一般的な活気ある職場となっている。

 

 

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1階と2階の一角、および隣接店舗には就労継続支援B型も運営している。それぞれ、検品からチラシ折、シール貼り、梱包、喫茶店営業など、多様な仕事が用意されていた。小規模の福祉施設では、用意できる仕事に限りがあり、利用者は作業が合わなければ辞めざるをえない。スケールメリットで得られる多様な作業内容が、様々な特徴を持つ利用者の通いやすさを作っていた。

 



CSRに関わる経緯・動機

◆人材戦略としての障害者雇用
DM業界の抱える悩みの一つに、慢性的な人材の不足がある。すでに女性雇用を進めていたビジネス・ソリューションにとって、次なる選択肢として上がったのが障碍者だった。5年前に愛知県障害者職業能力開発校の委託訓練校に名乗りを上げ1ヶ月の職業訓練、そして厚生労働省が主催する3ヶ月の基金訓練プログラムを実施するようになった。回を重ねるたびに社員の教えるスキルは向上していくものの、毎期総入れ替えで受講者を募集するのは大変で、受講者数は次第に減少していったという。そこで、訓練校で培ったノウハウを生かし恒常的に障碍者就労支援に取り組めるよう、グループ会社としてNPOを立ち上げ、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援 障害者ITカレッジを始めることになった。利用者には発達障害を抱える名古屋大学卒、東大卒などの高学歴者もいた。コミュニケーションのコツさえつかめば、極めて優秀な人材の頭脳を自社の力にできる。内藤社長は人事戦略としての障碍者雇用に、確信を持った。

 

◆苦しい時期を経て黒字化へ

福祉事業を立ち上げても、即軌道に乗ったわけではなかった。就労継続支援A型で始めたトマト栽培事業は、トマトの市場価格の下落と原油高の波にのまれ、大赤字で中断となった。得意のDMやIT業務を中心に喫茶、検品等の仕事で体制を整え、福祉事業の立ち上げから1年半でようやく赤字から黒字へと転換した。

 

企業としてCSR活動を継続して成り立たせるには

◆「適材適所」が組織を強くする

健常者以上に能力の凹凸が大きいのが、障碍者だ。一人一人の特性を見て、その人に最も適した作業に従事してもらっている。ある自閉症ながら極めて高い計算力を持つ女性には、経理事務の仕事を任せた。別のリウマチに悩む女性は営業アシスタントとして力を発揮しているという。個人の能力が開花するように人員配置をすることは、障害の有無に関わらず、企業の力に直結する。「社長の仕事は自分よりも優秀な人間の頭を借りることだ」と、内藤社長は語る。障害の有無に限らす、人の長所を見出す力が、組織運営に生かされているようだ。

 

◆実体を伴う理念が共感者を集める

「福祉の仕事がしたいんじゃない」福祉事業の開始当初、そう反発する社員も多くいたが、内藤社長はノーマライゼーション(どんな人も普通に暮らせるようにする)とダイバーシティ(多様性)を社是とすることを譲らなかった。結果的に、これに共感できない社員は去っていくことになった。一方で、福祉の勉強をした者や福祉に関心がある者が、同社の門を叩くようになった。今年になってA型の利用者から社員登用の実績もできた。理念を軸に、会社を構成する社員が入れ替わっていった。ビジネス・ソリューションは11年前の創業時に5万円で折込広告をした以外に、求人にお金を使ったことはないという。必要な人材はハローワークで十分に揃った。

 

◆仕事の品質を安定させるプロセスマネジメント

内職作業は、主婦が5人集まればできてしまうが、継続させるのは難しい。大切なのは、品質を安定させることだ。多くの就労継続施設では、助成金に安心して安価で仕事を請け負い、利用者にやらせるもののスピードと品質が伴わず、職員が必死にやって納期に間に合わせているケースも多い。それでは、結果的に利用者の工賃は低下し、職員も何のために働いているのかがわからなくなってしまう。ビジネス・ソリューションでは仕事の責任は社員が負い、作業工程や納期に合わせて利用者、パート、在宅ワーカーの誰に割り振るかを決めるという。当たり前のことを当たり前にできることが、顧客のリピートにつながっていくのだ。

 

◆障害者福祉は全面に出さない

福祉を全面に押し出すことは得策ではない。あくまで仕事の品質で勝負し、同業者との比較になった時の副次的な価値として示す程度にしている。

仕事そのものへの信頼ができた段階で、新たに紹介などを受ける際に、この価値が際立ってくるのだ。

 

今後のビジョン

◆3年以内に10社からなるグループ会社に

現在、内藤社長はビジネス・ソリューションをトップに、NPO等4つの会社を経営している。3年以内に、グループ会社を10社にするため、デザイン・ITなどDMの近接分野や、高齢障害者のためのグループホームなどの福祉の分野で6つの会社を立ち上げたいという。ビジネスの流れを読むのは難しく、どれだけ努力しても1勝9敗だと内藤社長は考える。時流が変わっても社員らが困らないようグループ会社内で転籍ができる体制を整えるそうだ。社員のやりがいを高め成長を促していくためにも、各社の経営も社員に任せる方針だ。

 

社員の声

営業アシスタントをするMさんは、リウマチを抱える身体障碍者だ。13年間他社に勤めていたが、障害に対する配慮が少なく、あまり働きやすい職場ではなかったそうだ。

彼女が同社に転職して驚いたのは、社員の障害に対する温かさ・優しさだ。彼女は障害の影響で重たいものも持てないのだが、彼女が重いものを持とうとすると、他の社員に叱られるほどだという。現在は、彼女の血液検査の数値も安定してきており、配慮ある職場で働くことが、症状の改善にも繋がったと笑顔で答えてくれた。