企業情報

商号 株式会社SS
会社設立日 平成20年12月18日
代表取締役 榎本智仁
本社所在地 名古屋市名東区本郷二丁目127番地
資本金 1000万円
事業内容 ・建設現場における仮設足場の組み立て・取り外し工事
・イベント会社と提携してのステージ(舞台等)施工
・仮設部材の販売
従業員数 30名

CSRの取り組み内容

長く安心して働き続けられる職場に

建設業界ではいわゆる「一人親方」として、業務請負で仕事をする人が多い。自分の裁量で働ける反面、会社員のように社会保険や厚生年金には加入できない。「病気やケガ、加齢によって体力が落ちると、ベテランの職人さんでも働けなくなってしまう。元気だった先輩が失職したり、年金を払っていなかったため生活もままならなくなる姿を見て残念だと思っていた」と榎本社長。同社では職人を社員として採用し、保険や年金、休暇など福利厚生を充実させている。

「社会保険料等が引かれないので、業務委託の方が手取りの金額は多くなる。従業員からも理解を得られないことが多かった」と榎本社長。「危険が伴う仕事なのに、労災保険も適用されない。年金の支払いや納税といった義務も果たさない働き方で本当に良いのか」そう考えて少しずつ会社の仕組みを整えていったという。

月に一度、功労者を表彰

同社では毎月、経営者会議で社員の中から一名「功労者」を選出して表彰している。顧客や営業マン、同僚の職員などの評価をもとに選ばれた「功労者」の写真と名前をホームページに掲載する。「社員自身のやる気につながるだけでなく、社員の家族からも仕事に対する理解を得られるのです」と榎本社長。サイトには「功労者」以外にも社員一人ひとりを紹介するコーナーもあり、顔写真とともに手掛けた現場の写真も紹介されている。「建物は残りますが、足場は工事のあとはすぐに解体されてなくなってしまう。こちらも施工中の足場の写真をきちんと残して紹介することで、多くの人に業務内容を分かりやすく伝え、社員の達成感を向上させる一助となっている。

更生保護の協力雇用主として

平成27年からは更生保護の協力雇用主として登録するとともに、豊田保護区協力雇用主会会員として更生保護の活動も行っている。少年院での講演や、足場づくりの技術指導も行う。「リアルな現場を知る私たちだからこそ、楽な仕事ではないとはっきり伝えています。学校や社会の規則から逃げ続けてきた子もいますから、きちんと社会の厳しさも伝えなければいけない。同時に、一度は道を踏み外してしまったからこそ努力できる部分もあると信じています」。



CSRに関わる経緯・動機

榎本社長が独立したばかりの頃、ある同級生に仕事を手伝ってもらうことになった。当時の彼は5年ほど「ひきこもり」のような状態にあり、約束しても来たり来なかったりという勤務状況。精神的にも不安定で、家で暴れることもあったという。榎本社長は彼を厳しく指導しつつ、なんとか働き続けられるように励ましてもいた。しかし現場でトラブルを起こしてしまい、元請けの会社から「彼を辞めさせないことには今後は契約しない」と言われてしまう。彼にそれを告げると「自分はここ以外に働く場所はない。不安定な自分なりに一年頑張れたのだから、何とか続けたい」と懇願された。そこで榎本社長は株式会社SSを設立。元請けからの仕事はなくなったが、彼とともに働き続けることを選んだ。「この業界は、法律や世間の常識からはみ出してしまった子たちの受け皿になっている面もあります。ここで見捨てられないという気持ちもありますし、そういう子たちが現場で活躍できるかは、経営者が彼らと本当に真剣に向き合うかどうかだと思います」。

企業としてCSR活動を継続して成り立たせるには

榎本社長は「お金やモノにはあまりこだわりがない」と語る。「それよりも、仲間が増えたり、頑張った職人が喜ぶ姿を見られたほうがうれしいでしょう」と。業界の慣習を変えていくことには困難も多いが、少しずつでも理解者が増えていくことに手ごたえを感じているようだ。

今後のビジョン

「完全週休2日制、年2回の賞与など、実現したいことはたくさんあります」と榎本社長。そのために事務や決裁のシステムにITを導入するなど、効率化・省力化を進めている。

また、一社だけではできることに限界がある。同業者の団体と協力しながら、建設関係の会社にも社会保険や年金の加入を義務付ける「職人基本法」の制定を目指す活動も続けている。「職人の安全と生活を守り、適正な雇用が当たり前になるようにしたい。今の当社の取り組みは、業界のモデルになり得ると思っています」。